CT(コースタイム)とPDCA

CT(コースタイム)とPDCA

2023年9月18日

なんだか小難しいタイトルで書き始めてしまいましたが、2023年8月に行った「黒部源流周回(4泊5日)」で過去に経験したことのない”CTと実績のずれ”がありましたので予実分析をしてみました。

起きたこと!

登山2日目の黒部五郎岳から黒部五郎小舎へ向かっているときのことです。黒部五郎岳の肩から小舎までのCTx1.0倍(ヤマレコらくルート)=1時間7分を予定していたところ、カールを20分ほど急降下して平たん路に出たところに道標がありました。
そこに書いてあったことは…「小舎まで2時間」…
CTを信じて下ってきた私としてはもうびっくり仰天でした。

その時の時間は午後14時くらいでしたので、ここから2時間かかるとなると16時になってしまう…という焦りと、なんでそんなにCTと違うの?という疑問…疑問…疑問??

どうなった?

その後、緩やかに下って行ったのですが、途中救助を求められるという事案に遭遇しまして(ヒヤリハット事例参照)当事者の症状が改善するまで20分くらいの時間を必要としましたので、差し引くと看板から小舎まで約1時間40分(肩から小舎まで約2時間)かかったことになります。

考えてみよう!

肩から小舎までのCT=1時間7分に対して、実績は約2時間ということで、倍の時間がかかったという経験は本当に初めてです。
本件を山行記録で投稿したところ、同じ経験をしたというコメントもいただきましたので、私が遅かっただけではなく、CTの設定が辛口だということもあるのでしょう。

そこで、黒部源流周回の5日間について、計画と実績の予実分析を行ってみました。

🔳2日目の遅れ
グラフを見ていただくとお分かりのように、2日目は計画に対して行動時間が2時間以上も遅れました。
その原因は
1.CTと実績の差=1時間程度
2.要救助者の対応=20分程度
3.1日目の+1700mの登りによる疲労
4.オコジョや雷鳥との遭遇
だと思われます。

🔳4日目の遅れ
この日も約2時間程度計画より遅れました。
原因はかなり明確で雲の平から薬師沢への「ツルツルゴーロ帯の急降下」で相当時間をかけて安全に降りたことと、ヤマレコのCTが辛目であったことだと思います。
1.薬師沢降下のCTと実績差=1時間程度
2.ヤマレコとYamapのCT差=1時間程度

結論!

以上の差異分析から言えることは
今回のようなマニアックでロングなコースを行く場合は…
1.ヤマレコのCTのみならず、他のCTも比較して余裕を持った計画にしておくこと
2.高齢にもなってきたし、疲労の蓄積も考慮してコース倍率をx1.1程度まで増やすこと
を計画に反映することにしようと考えました。

他の山行も比較してみよう!

同じかな?違うかな?

黒部周回から下山して翌週に南アルプスの悪沢岳~赤石岳の周回に行ってきました。
その際の予実分析もしてみました。
計画の条件は自分の旧基準(ヤマレコ(らくルート)x1.0倍)のままです。

🔳1日目
椹島から千枚小屋までの登りです。
初日ということで元気いっぱい!計画より少し早めに千枚小屋に着きました。

🔳2日目
千枚小屋~千枚岳~悪沢岳(荒川東岳)~荒川中岳~荒川前岳~荒川小屋~小赤石岳~赤石岳~赤石岳避難小屋です。
行動時間は計画より20分ほどかかりました。やはり2日目で疲労もあるのかもしれませんが、絶景ルートなので足を止める機会や写真撮影も多く、時間がかかっているようです。
また、荒川小屋で大休憩した際に、水場へ汲みに行ったり、ビール購入やらで長時間休憩となったことで30分ほどロスしました。

🔳3日目
赤石避難小屋から赤石小屋経由で椹島までの2100mの降下です。
計画通りの時間でした。

結論2!

ということで、全体としてはほぼ計画通り、CTx1.0で行動できました。
が、やはりもう少し余裕のある計画にしておきたいものです。

今後の対応

先にも期した通り、今後のロング山行については以下のように計画の見直しをすることにしました。

1.計画段階ではヤマレコとYamapの両方で計画し、大きくCTに差が出るところがないか、日毎の行動時間に余裕が持てているかを検証する。
2.CT倍率はx1.1で計画し、余裕をもって下山できることを実績を見て検証する。

検証してみよう!

10月に計画している飯豊連峰縦走では、上記の2点を計画に反映し、下山後に改めて検証してみたいと思います。

3日間の計画ですが、倍率はx1.1としました。
1,3日目はヤマレコのCTで計画、2日目はYamapのCTで計画して実行しようと思います。

検証結果

ロング山行については、ヤマレコとYamap両方でCTを出したうえで、時間のかかる方を計画に採用することにしましたが、実際に飯豊連峰縦走で検証してみました。

🔳1日目
大日杉小屋から切合小屋までの主に登りです。
計画に対して行動時間が短めです。
私の場合、どのような山でも1日目は計画より速く、恐らく初日なので体力的にも元気で気合が入っているのでしょうね。

🔳2日目
切合小屋から梅花皮小屋までの稜線歩きです。
行動時間はほぼ計画通りでした。
この区間は計画時にヤマレコよりYamapのCTのほうが長かったので、これを採用しましたが正解でした。
休憩時間は半分くらいしか取っていませんが、稜線なので妥当かもしれません。

🔳3日目
梅花皮小屋から飯豊山荘への急降下と梅花皮荘までの舗装路歩きです。
行動時間は計画通りでしたが、休憩時間は短めで終えました。
苦手な下りが多かったのですが、あまりにも急降下だったので休憩場所が無かった?のかもしれません(笑)。

という結果になり、ヤマレコとYamapのCT長いとこ取りは成功だったようです。
登山サイトによるCTの違いもあるようですが、一方で自分の特性(例えば、河原は初日は速いが中弛みする…とか)もありそうですね。

以上、PDCAの事例として皆さんの安全登山にお役立ていただければ幸いです。