天候リスクを知る

2022年11月30日

気象情報の調査・準備

登山の場合、いかに緻密な登山計画ができたとしても、それを大きく覆してしまうのが自然環境です。
特に中高齢者は体の自律能力が衰えてきている可能性があるので、予期せぬ天候の悪化に巻き込まれて体調を崩さぬよう、しっかり調査して準備することをお勧めします。

1.気象情報の収集

雨の日や風の強い日の登山は心が折れてしまうこともありますよね。辛いものです。
当日の天気がどのような大気の変化によって、どうなりそうか?ということを時系列的に把握するために、天気予報は直前に見るのではなく、できれば10日から1週間前からみていただけると良いと思います。

天気予報が出される仕組みですが、大元のデータは気象庁が12時間おきに発表している気象モデル計算値です。(GPV:Grid Point Valueといいます)このデータを使って各予報会社が各地区の天気を予報しているのですが、10日先の天気はながなかズバリと予測するのは難しく、日を追うごとに変化してゆきます。

変化してしまうのならそんな前に見る必要は無いのではないかと思われるのが普通ですが、この変化を見ておくことこそ大事だと私は考えています。

例えば、10日前には登山日の天候が雨、その前後の日の予報が晴れであったとしましょう。
暫く天気図や予報の変化を観察してゆくと、前日が雨になり、登山日は晴れになったのであれば、天気予報よりも実際の天気の変化早い方にずれてきたことを知ることができます。

このように気象計算値と実際のずれのトレンドを理解していけば、ひょっとするとこのまま天気の変化が早まると当日はどうなるのかといった自己予測を持てることになり、その場合の対処も考えられるようになります。

2.高層天気図の活用

私たちが登る山の天気は平地の天気とは異なることを皆さんは理解していると思います。
山の天気はその高度に入る空気の活性度や地形と風向き等により大きく変化しますし、変化のスピードもことなります。

そこで、登山にあたっては是非高層天気図を見ていただき、自分が登る山の高度や登山口の高度などの天気を確認いただきたいのです。

高層天気図といっても聞きなれない言葉ではないでしょうか。
実は気象を考えるうえでは、下層/中層/上層の3つの層を見ています。
下層=約2000m以下
中層=約2000~5000m
上層=5000m以上
と覚えておいていただければ良いかと思いますが、山の高さを考えていただくとわかる通り登山では下層と中層が大事です。

これらの層別の予報は様々な気象会社が発表していますが、自分の場合は主に「ヤマテンの専門天気図」や「YamaYamaGPV」、「Windy」を見ています。

天気図の見方は様々なサイトで解説がありますので割愛しますが、例えばゲリラ豪雨になりそうな山域や大雪が降りそうなリスクの判断ができますし、もう少しピンポイントであれば、平地では下層雲が少なく曇りだが、目的の山では中層雲が多くて雨が降る…とか、平地は下層雲が支配的で雨だけど、中層雲が無いので2000m以上まで登れば雲上にあがり、晴れで雲海が見られそうだ…というようなことを見ることができます。