登山計画前の準備

2023年4月29日

さて、これから登山計画を作っていくのですが、その前に様々な情報を集めたり考えたりという準備をしてゆきたいと思います。
ここでは特に遭難につながるような原因系に対しての調査・準備を列記してみました。想像力を働かせて考えてみてください。

ルートミスをしない為の準備

ルートミスをしないと書き出しましたが、まあ100%防止することはなかなか難しいので、正確にはミスをしない&ミスがあっても直ぐに気が付くようにするということでしょうか。

経験から言うと日本アルプスや有名な山では踏み跡明瞭で道標もしっかりあり、道迷いの心配はそれほどでもありませんが、地方の低山の方が危険度は高いと思います。

低山(里山)では自治体や地元の山岳会などが管理していますが、入山者が多くないと踏み跡が不明瞭であったり、道標も少なかったりします。また枯れ葉が多い時期は踏み跡が隠されて進む方向が分からなくなったりします。

このように登山道が不明確になりやすいところには登山道に沿ってピンク、赤、白などのテープが木に巻かれていたり、木の幹や岩に赤ペンキマークがあるので目印になります。

したがって、準備の段階では登ろうとしている山の情報を見て踏み跡は明瞭なのか、テープやマークは多数あるのか等を調べられたら良いかと思います。ただし、このような詳細な情報は得られない場合が多いので、その場合はオンサイトのリスクマネージメント(山行をスタートしてから)に頼ることになります。

また、準備段階ではルートの予習を行ったほうが良いと思います。
道迷いが発生しそうな場所はルートの方向が大きく変化している場所ですね。特に尾根上からの下降点は間違えやすいところが多いと思いますので、頭に入れておくと同時に、紙地図に注意ポイントをマークし、標高や手前のランドマークになる点からの歩行時間や距離などを書いておくと良いと思います。

私も何度かルートミスを経験しました。予習や紙地図も携行しますが、現在はスマホのヤマレコアプリにあるルート逸脱アラームを活用しています。
ルートからある程度の距離を逸脱しないとアラームが鳴らないので直ぐには気が付かない場合もありますが、非常に便利で安心です。

過疲労、熱中症や低体温症にならない為の準備

登山ではどんなに健康であってもそれなりに疲れるものですが、疲れすぎて行動不能になることだけは避けなければなりません。
よって、力量以上の無理な計画はもってのほかですが、中高齢者の場合は内的、外的な変化に対する順応力が低下しているであろうことも考慮しないといけませんね。

力量に見合った計画作成は別ページの「安全計画に欠かせない登山計画」にて説明しますので、ここでは計画以外に留意していただきたいことを触れたいと思います。

先ず疲労についてです。詳細は専門的なサイトを見ていただきたいのですが、一般論としては登山は長時間の運動であるため、血中の糖分を短時間に消費するような行動を避けて、脂質+糖分を利用した行動が望ましいと言われています。
息を切らすような、そしてスピードを上げた行動は酸素を多く必要としと血中の糖分を急激に消耗するので、早くバテてしまいます。

自分も登山を始めたころは、ハアハアしながら一所懸命登ったり下ったりしたものですが、今ではトレーニング山行でもマイペースになってしまいました。

また、食事と水分摂取は非常に重要だと思います。
朝昼晩の3食はきっちり摂りましょう。また経験的には朝食は温かいご飯をしっかり頂くことが好ましいと思います。
お米は冷たいほうがゆっくりとエネルギーになっていくので、冷たいおにぎりの方が理にかなっているような気もしますが、逆にゆっくり過ぎるのかもしれません。

行動食は1~2時間おきに150~200kcal くらいを目安にして、3~5回摂っています。行動時間によっても異なりますが、登りで2~3回、下りで1~2回ですね。

続いて水分摂取ですが、疲労のみならず熱中症や低体温症すべてに重要な行動ですね。定期的に適量を呑むことが重要なのでハイドレーション(ザック内にタンクがあり、ホースで飲む)の利用がお勧めです。のどの渇きとは無関係に10~15分おきに一口~二口程度喉を潤す程度が効率良く水分摂取できて、尿が溜まりすぎないようです。

ハイドレーションに抵抗がある方は、少なくともザックを降ろさないと給水できないような装備は避けたほうが良いですね。ショルダーハーネスにペットボトルを入れるケースを設けるなど、立ったままで少しずつ給水できるようにしておくことが良いと思います。

また、ウエアのレイヤリングも是非検討してください。特に汗冷えや低体温症を防止するには有効だと思います。
昭和の登山ブームを知っているご高齢の方には、ウールのカッターシャツみたいなファッションを好まれる傾向があるようですが、アンダーウエアやベースレイヤーはボタンのないジップシャツを体に密着させることで、汗を効率よく吸い上げ拡散し、早く乾燥させることで汗冷えを防止したり、薄いウエアを多層に着ることで保温層を確保することがトレンドであり、自分も実践で良さを感じています。

注意散漫

穏やかな山を登っているときが一番陥りやすい「注意散漫」つまり「集中力の欠如」ですね。
急登をこなし、岩場や鎖が連続するようなルートでは集中力が続くのですが、山頂に立ち下山するときも核心部が終わった後とかが油断する場面になったりします。

先ずはルートミスの項で触れたように計画段階で危険な場所はきちんと把握して、滑落や転倒が無いようにしたいものですが、休憩のインターバルを決めて気持ちをリセットすることも重要ではないでしょうか。

私の場合、入山後30分程度で一旦ウエア調整のための休憩を入れています。その後は1時間に1回の休憩を基本としてルートの厳しさに応じて調整を行っています。

登山計画を作るときに、1時間当たり5~10分くらいの休憩を取る前提で計画しておけば安心して休憩を取れるのではないかと思います。

尚、食料や水分摂取については上述しましたので割愛させていただきます。

悪天候

登山は天気の良い日に楽しみたいものですね。
また、中高齢者はバランス力が悪くなっていることが考えられるので、濡れた岩場や岩稜歩きは避けたいですね。

私は既にリタイヤ組になりましたので、基本的には天気の良い日を選んで登山をしていますが、それでも夏山では突然の雨に合ったり、雪山でも晴れてはいるが強風に四苦八苦することはあります。

そこで、気象情報については登山日までにどのように予報が変化しているのか、ならば登ってみたらひょっとするとこんな天気になるのではないかといった予知予測的なことを「天候リスクを知る」で紹介しますので是非ご覧ください。

尚、雨具やビバーク装備については多くのサイトで紹介していますので、ここでは割愛します。