私の所属している山の会で、新年度の入会者と「山のこと」のコミュニケーションをしている中で、登山におけるエネルギー摂取の仕方など、バテない登山についての対話があったので、一度全体像をまとめておこうかと思い、また自分も再確認をする意味も含めて列記してみることにしました。
息が切れないペースで歩く
登山の基本中の基本ですが、これがなかなか難しかったりしますよね。
特にグループ登山では力量の異なるメンバーがパーティーを組んで登り下りすると、当然スピードの差が生まれることになりついつい無理をしてついて行ってしまうと早くバテてしまったりするものです。
グループリーダーはパーティー内の力量のばらつきをしっかり確認して、スピードの基準とするものを前(一般的には先頭の次)に配置してコントロールしていただくのが良いと思いますし、参加者も遅いから後ろに行くということではなく、リーダーに自分はゆっくりなので前において欲しいと申し出て、息切れしないようなスピードを維持するのが好ましいと思います。
(もちろん、普段のトレーニング等で心肺や筋肉機能の強化を頑張って、息切れしない体を作っていくことも必要ですが)
疲れる前に休憩する
疲れが出てからの回復にはかなり時間を必要とするので、登山の基本は「疲れる前に休憩する」です。
体力は人それぞれなので、自分に見合った休憩の取り方を見つけてゆくことが大事ですね。
私の場合ですが、
1.体温調整のため、登山開始後30分程度でウエア調整
2.その後は、登り下りともに、1時間に1回(5~10分)のインターバル休憩を取る
(急登では45分に1回にする等、状況によって調節)
3.大休憩(昼食)は30~60分
としています。
個人差や登山道の状況(土道、岩稜、雪道)などによっても疲れ方には差があるので、疲れそうだなと思ったら早めに休憩。また歩き始めはついついうれしくてスピードを上げがちですが、ぐっと抑えて…がよろしいかと。
呼吸機能は100%使う(呼吸法)
通常の呼吸では肺の体積中20%程度は残存空気が残ったままになっているとのことです。
そこで、登山では肺の機能を100%活用できるようになるために、呼吸法がとても大切になります。
- 正しい姿勢で肺を大きく使えるようになる
前かがみや背中を丸めた姿勢ですと、肺が縮こまった状態になってしまい、肺の体積を十分に利用できなくなります。なので、顔を上げて背を伸ばし、胸を開いて、直立より若干前傾した姿勢が好ましいと言われています。(とくにトレッキングポールを利用している人は注意) - 鼻から吸って口から吐く
鼻腔内に肺から吐かれた酸素の少ないまた温度の上がった空気を滞留させないことで、鼻腔内は絶えず新気で満たし、鼻腔上部を冷却することで脳も冷却しながら効率の良い新気循環をする。 - リズム良く吐いて吸う
歩調に合わせてリズムよく吐いて、吐くときは口をとがらせ(口笛を吹くような形)て息をゆっくり長く吐くことに意識する。
呼吸のしんどさに応じて、「3回吐いて、吸う」「2回吐いて、吸う」「1回吐いて、吸う」を使い分ける。 - 辛くなったら深呼吸
深呼吸は肺の中の空気をすべて入れ替えることに意識して、
1.口をとがらせて5秒間くらいかけてすべての息を吐きだす。
2.自然に空気が肺に入ってくるように吸う。(無理に吸い込まない)
3.上記を5回程度繰り返す。
エネルギーを十分に摂る
登山は多量のエネルギーを必要とするスポーツです。体重や距離、累積標高などから必要エネルギーを計算しているサイト等がありますので計算方法は割愛しますが、一般的には3000~3600Kcal(基礎代謝+登山)を必要とするようです。
- 登山前の夕食、朝食はしっかり摂る
行動を始めてからのエネルギー摂取では、消化や糖への変換に時間がかかるので筋肉や脳はすぐにエネルギーを使えません。
前日の夕食、当日の朝食で基礎エネルギー(水分、ミネラル)をきちんと摂っておくことがとても重要です。
私の経験では、朝ご飯はやはり暖かいものをしっかりいただく…というのが、その日の体調を優れたものにしてくれると感じています。 - 行動食はインターバル管理
おなかが空いたから何かを食べるという行動パターンですと、どうしてもエネルギー摂取タイミングが遅くて間に合わないということになりがちです。
そこで、登りでは1時間に1回程度(150~200Kcal),下りでは2時間に1回程度(150~200Kcal)をインターバル休憩時に摂るのが好ましいと思います。 - 下山後はタンパク質
高負荷の運動後は筋肉の繊維が破壊され筋肉痛になったりしますが、これを超回復させて筋肉を大きくしていくために必要な要素がアミノ酸であり、そのアミノ酸を作る基になるのがタンパク質です。
下山したら、肉!…というモチベーションにもなるかも?
水分とミネラル
エネルギー摂取と同様に重要なのが「水分摂取とミネラル」ですね。
夏場は熱中症、冬は低体温症、さらには脚の攣りの原因になるのも水分不足です。
汗と一緒に体から排出されてしまう「塩分」や、不足すると脚の攣りになる「カルシウム」、「カリウム」、「マグネシウム」などのミネラルも大事な要素です。
- 登山前の水分摂取
エネルギーと同様に、基礎となる水分は体に貯めてから登山出発が望ましい姿です。
250~500㏄を登山1時間前に飲んでおく(一気飲みではなく、分けて飲む)と良いでしょう。 - 水の摂取はこまめに少しずつ
水分は排出された分を飲むのが基本です。汗や呼気として排出されてゆきますので、10~15分ごとに10~15㏄程度を口に含んで、喉を潤しながら水分摂取とします。 - ハイドレーションの活用
上記のように頻繁に水分摂取しようとすると、ザックの中にあるペットボトルでは無理があります。
また、歩きを止めずに目も足元を見ながらしっかり安全確保しながらの水分摂取にはハイドレーションの活用がベストです。
ザックの中にペットボトルを入れておくと、止まる→ザックを下す→水を飲む…という行動がおっくうになり、結果十分な水の補給ができず足が攣ったり、熱中症になったりとの原因になりかねません。
少なくとも、ショルダーハーネスにボトルホルダーを付けて、喉が渇く前に水分補給ができるような準備をしましょう。
一方のミネラルですが、本来ならば食事できちんと摂っておくことが必要でしょうが、どのような食材にどの程度のミネラルがあるか…ってわかりにくいですね。
なので、どうしても飴(塩分、クエン酸)やサプリメント(カルシウム、カリウム、マグネシウム)に頼ることになってしまいます。
スポーツ者向けのミネラル補給食品が多数販売されていますので、探してみるのも楽しいかもしれませんね。
楽をすることに努力する
なんのこっちゃ?と思うような見出しですが、登山者の多くの方々は登山中に一所懸命考えていることだと思います。
- 段差の低いところを探す
岩や木の根、階段など登山道には足を上げなければならない段差が多くありますが、足を高く上げてその高さまで体を持ち上げることにより少しずつ体力を削がれていくのが登山です。
よって、いかに段差の低いところを通過するかと、絶えず良く探して歩くのです。 - ザックの重さを感じにくくする
ザックのパッキングによって、重く感じたり、軽く感じたりします。
詳細は他のサイトに委ねますが、重いものは背中に近く中央の高さ、軽いものはザックの下のほうというように、慣性中心が体に近くなることで軽く感じます。
また、ザックはショルダーハーネスで重量を背負わず、ウエストハーネスで重量を支えるようにフィッティングします。 - トレッキングポールの活用
中高年登山者には必須アイテムではないかと思います。
基本的にはバランスを取るための道具ではありますが、きちんと使えば登りの体力を補い、下りでは関節負担や安全性の補助にもなります。
(別途、詳細投稿を考えています。) - 軽い道具を買う
登山の場合、軽さは命です。
が、軽いものは高いです。(悲)
例えば、コッフェル類、カトラリーなどはチタン合金製が多く販売されていますし、テントも1㎏を切るようなものが多くなってきました。
軽量化大好き!という方は、ご自分の所有品の重量リストを作ってみると先の展望につながるのではないかと思います。
(私の場合は重量リストを作って、テン泊や縦走時のパッキング重量計算に利用しています。)
登山は体力のみならず脳もフルに使うスポーツです。是非いろいろとアイデアを考えて、少しでも楽な登山を目指しましょう。(お金もかかります…とほほ)