2024年 東北残雪期遠征(登山編)

2024年 東北残雪期遠征(登山編)

毎年、1回/年は遠征に出かけていますが、2024年は東北で春山(残雪期)を楽しんでみることにしました。

一番の楽しみは新潟県の二王子岳から飯豊連峰を望むこと。2023年の秋に飯豊縦走をしましたが、自分が歩いた稜線を残雪の姿の時に見てみたいということでした。

また、磐梯吾妻連峰では磐梯山や西吾妻山には登ったことがあるものの、東側の山は未経験であったため東吾妻山や一切経山に登ってみようと考え、そういえば五色沼の魔女の瞳がちょうど開眼のタイミングになるであろうことから、この期待も大きかったです。

遠征概要

月日行動概要/山行記録リンク温泉宿泊
4月27日移動(静岡→千葉)ばんやの湯道の駅グリーン
ファーム館山
4月28日烏場山(千葉)道の駅
奥久慈だいご
道の駅
奥久慈だいご
4月29日奥久慈男体山(茨城)さんたの湯道の駅
りょうぜん
4月30日霊山(福島)飯坂温泉
はなももの湯
道の駅
たかはた
5月1日フラワー鉄道長井線(山形)赤湯温泉
ゆこっと
ホテル
マウント磐梯
5月2日東吾妻山,一切経山(福島)桂の関温泉道の駅
関川
5月3日二王子岳(新潟)まほろばの湯道の駅朝日
みどりの里
5月4日移動日(新潟→秋田)、堺田分水嶺ハイルザーム
栗駒
道の駅
厳美渓
5月5日栗駒山(秋田)新湯
くりこま荘
道の駅
おおゆ
5月6日八甲田山(青森)あねっこの湯道の駅
雫石
5月7日秋田内陸縦貫鉄道(秋田)豆板温泉
三峰荘
道の駅
やまなみ
5月8日泉ヶ岳(宮城)ゆ処悠々ルートイン
多賀城駅東
5月9日仙台港(フェリーで名古屋港へ)(フェリー)フェリー
5月10日名古屋港→静岡—-—-
行動概要

登山について

行動概要に山行記録をリンクしてありますので詳細は記録を見ていただきたいのですが、今回は何といっても八甲田山のトラブルが一番の反省点だったかと思います。

八甲田山のトラブル

事象概要

登山した日は5月6日。7日は低気圧の通過で東北地方の特に北部は天気が荒れる予報だったため、八甲田山に登れるチャンスは6日しかなかった。5日の時点で当日の天気は曇りの予報。ただし日本海を北上中の低気圧の影響で風が10~15m/sとの予報だった。
また、栗駒山からの移動距離が長く、時間的な制約もあったことと、最高峰の大岳は過去に登っているので井戸岳や赤倉岳が目当てということもあり、すべてにおいてロープウエイの利用が理にかなっていた。

登山当日、予想通り山頂の風は強いようでロープウエイは25m/sが吹いたら停止するという前提で乗車。
登り始めの頃はそれほど強くなかった風も、大岳の避難小屋に着いた頃には暴風となった。
急ぎロープウエイ駅に引き返したが、既に運転中止。一人取り残される羽目になる。

まあ、そんなこともあろうかと心半分くらいは予想していたが、さて自力下山をしなければ…となると事前の準備が不十分なことに気が付く。
もし、ロープウエイが止まった場合の下山路をどのルートにするのが最もリスクが小さいのか把握できていなかった。

対応の検討

  1. 先ずはロープウエイ山麓駅(自車が駐車してある場所)に降りるルートを考えた。
    ①ロープウエイ直下のメンテナンス路を降りる:これは登りのロープウエイで直下の雪の具合や藪の出方などを見ていたので、ここを降りるのは厳しい(=無理)という理解はあった。
    ②山麓駅に降りる夏道があり、ヤマレコのみんなの足跡でも歩いている実績があることは調べてあった。なのですぐにこの夏道の取りつきを調べに降りた。
    だが、夏道らしきルートの入口は見つからず、地図を見ながら夏道の方向に向かってハイマツ帯を漕いでみたものの、踏み跡にはたどり着けず、またハイマツを漕ぐのは体力的にも無理ということで断念。
  2. 次に考えたのは、山麓駅への夏道取り付きの情報をもっと集めてみること。
    八甲田ロープウエイに電話をして、山頂駅に取り残されていること。自力下山のため夏道を探したが見つからないこと。山麓駅へ降りるルートについて聞いてみたが、結局夏道は雪で覆われ追うのは無理であろうとの見解。
  3. そうなると次の選択肢は遠回りにはなるが酸ヶ湯に下山するルートを取ることになる。
    酸ヶ湯から大岳~毛無岱を数日前に登山者が周回していることは知っていたので、このルートに出れば酸ヶ湯までは降りることができるという理解はあった。
    が、先ほどの避難小屋まででも距離が長く藪も多いので、あれをもう一度やるのは避けたいという思いがあった。

判断と結果

地図を眺めながら、みんなの足跡を見ながら、実績があって渡渉やスノーブリッジなどのリスクの少ないルートを検討した結果、下毛無岱まで雪渓を辿って降り、酸ヶ湯へ向かう登山道へ合流するというルートに決定。
そして、藪を巻きながらも雪渓が切れることなく、踏み抜きなども無く下毛無岱の木道まで降りることができ、無事酸ヶ湯へ下山し、バスでロープウエイ駅まで戻ることができたのでした。

反省

風が強いことは知っていた。ロープウエイが止まるかもしれないことも予測していた。にもかかわらず、「その事態が起きたときに使うルートを事前に調査し決めておかなかった」ことは大きな反省点でした。
今回は八甲田ロープウエイに電話がつながり、山麓駅への夏道の情報が得られたことで、遠回りになっても酸ヶ湯に降りる決心がつきましたが、十分な情報が無ければ無理して夏道を降りて、ハイマツ漕ぎで体力を失って最悪の事態になっていた可能性もあります。

残雪期はいろいろな面で難しいです。ノートレースは当たり前ですし、入山者はバックカントリーが多くて登山者は少ない。
準備は万端で臨まなくてはいけないですね。

栗駒山の残雪

概況

トラブルということはなかったのですが、残雪期特有の注意点ですね。
東栗駒山ルートを登りましたが、注意看板にも書いてあった通り、雪解け水で登山道が川になっていました。そして、残雪で覆われているところも、実はその下には川が流れていて空洞になっている=一般的にいうスノーブリッジ状態が続きました。

このような状況で一番怖いのは、スノーブリッジを踏み抜いたり、崩壊して川に落ちると脱出不能になったりずぶ濡れになって体温低下に至ったりということですね。

東栗駒山ルートの登りは朝一番の先頭をあることになり、トレースも不明確で2回ほど大きな踏み抜きをしました。そんなことだろうとスパッツを履いていたのと、水の量がそれほど多くなかったので靴に水が浸入することも無く難を逃れましたが、情報収集と事前準備が生かされた事例かと思います。

残雪の下を流れる川
栗駒山山頂へ残雪を登り詰める