ヒヤリハット事例(動悸が激しくて歩けない)

ヒヤリハット事例(動悸が激しくて歩けない)

北アルプス黒部五郎岳で行動不能者と遭遇した話です。

登頂を果たしてカールを降下し、小屋に向かって進んでいるときに高齢の先行者が休んでいました。
挨拶をして通り過ぎようとしたのですが、休んでいる方から「動悸が激しくて歩けなくなってしまったので助けて欲しい」と求められたのです。

事情を聴いてみると、元々心疾患があるが医者からは登山の許可をもらっていること、黒部五郎の登りでかなり心肺に負担があったとのこと。

咄嗟に思ったことは「水分不足」でした。
水分は摂っているか?どれくらい残っているか?との問いかけに対して、「水は飲んでいるし、まだ300㏄も残っている」と言いながら見せてくれたのは片手で蓋が開くタイプの水筒。
違和感があったのは「300㏄も…」という言葉で、登山慣れしている人ならこの夏山の時期に300㏄はかなり心もとないはずなのに、十分あるという言い方をされたこと。
ここまでくるのに水を汲める小屋から6~7時間は歩いているはずなので、想像するに「水分不足」なんだろうと。

で、結果はしばらく休んで動悸が治まったので当人はゆっくり小屋に向かい、事なきを得ることができたので良かったのですが、ご高齢者は喉が渇かないと水分摂取しない」という行動がいかに危険かということを知る事例かと思い、記録させていただくことにしました。

私の所属する山岳会の山行でも、「足が攣る高齢者」が多いのですが、水分不足が一因だと思いますし、ザックの中に水筒やペットボトルを入れているので、ザックをおろさないと給水できないという方が多いこと。
本来ならば、喉の渇きとは関係なく、汗や呼気から失われていく水分量と同等量をは定期的(10~15分毎に1~2口)に飲むことが必要ですよね。

なので、是非中高齢者の方にこそハイドレーションを使っていただきたい!…と思うのです。

私が使っているハイドレーションをご紹介させていただきますと、右が日帰り用の600㏄ボトルタイプです。
Camelbak製ですが、残念ながら既に生産中止品です。
ペットボトルに直接ホースを付けるタイプが販売されていると思いますが、ザックの横ポケットに入れることができるので、補給も簡単です。

日帰り山行では、2Lのペットボトル水を購入して、このハイドレーションに600㏄を満たして、残った水はペットボトルごとザックに入れてゆくことが多いです。

同じく、縦走など連泊で入山する場合のハイドレーションです。

Platypaus製のホーサー1.8Lになりますが、とても軽くて気に入っています。

過去には、ザックメーカーが出しているハイドレーションも使っていましたが、重くて使い勝手があまりよくありませんでした。

今は、このホーサーに1~1.5Lほど水を入れて常用ハイドレーションとしてザックの内部ポケットに納めています。また更にナルゲンの500㏄ボトルをザック横のポケットに入れて、がぶ飲み用として利用することが多いです。

是非ハイドレーションをうまく活用して、こまめに給水してみてください。
水分不足は心拍数アップや筋肉の攣りのみならず、熱中症や高山病、また低体温症など様々な原因になりますのでご注意ください。